定款は電子と紙どちらにすべき?費用や提出方法、保存方法などの違いを徹底比較!
電子定款・紙定款を比較して、どちらが自社に合うか考えよう

会社設立の際に必ず作成する「定款」には、電子定款と紙定款の2つの方法があります。
どちらも法的な効力は同じですが、作成手順や費用、手間のかかり方には大きな違いがあります。
特に、近年は電子化の流れにより、電子定款を選ぶ企業が増えていますが、状況によっては紙定款のほうが適している場合もあるでしょう。
この記事では、電子定款と紙定款それぞれの特徴を比較し、費用面・手続き面・利便性などの観点から、どちらを選ぶべきかをわかりやすく解説します。
電子定款と紙定款のどちらで作成するべきか迷っている人は、ぜひ参考にしてください。
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この記事の目次
会社設立時に欠かせない「定款」の役割

会社設立において、電子定款と紙定款を比較する必要があるのは、「定款」が会社の根本的なルールを定める極めて重要な書類だからです。
作成方法によって費用や手続きが変わるため、後から「どちらにすればよかった」と後悔するケースも少なくありません。
まずは、定款がどのような役割を果たすのかを理解しておいてください。
定款とは、会社の基本的な仕組みを明文化した「会社の憲法」ともいえる書類です。
会社名(商号)や所在地、目的、発行する株式の内容、取締役の任期など、会社運営の根幹となる事項を定めます。
この定款を公証役場で認証を受けることで、会社の設立が正式に進められるようになります。
つまり、定款は単なる書類ではなく、会社のルールや方針を社会的に証明するものです。
電子と紙のいずれかの方法を選ぶことで、コストや手間、スピードが異なるため、自社にとって最適な方法を見極めることが重要となります。
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電子定款と紙定款の比較ポイント

電子定款と紙定款には様々な違いがみられます。ここで、比較ポイントをまとめて紹介します。
| 電子定款 | 紙定款 | |
| 印紙税の有無 | 無 | 有(4万円) |
| 手数料 | 認証手数料、電磁的記録の保存手数料、同一情報の交付費用 | 認証手数料、謄本の請求手数料 |
| 手続きの方法・スピード | 定款を作成したらPDFファイルに変換し、電子証明書を取得。PDF化した定款に電子証明をしてオンラインから提出する。 | 紙媒体で定款を作成し、公証役場に出向いて認証してもらう。 |
| 保存・管理のしやすさ | データ上で保存・管理 →紛失するリスクが低い |
キャビネットやデスクの引き出しで保存・管理 →破損・紛失のリスクがある |
印紙税の有無
電子定款と紙定款の大きな違いとして、印紙税の有無が挙げられます。そもそも印紙税は、経済的な取引に必要な書類に課せられる税金です。
紙定款の場合、株式会社・合名会社・合資会社・合同会社および相互会社を設立する際に作成される原本に対して印紙税が課されます。
一方、電子定款は税法上の免税対象であり、印紙税は課されません。
印紙税は1通または1冊につき4万円かかるため、コストを少しでも抑えたい場合は電子定款がおすすめです。
手数料
紙定款を作成する際にかかる手数料は、認証手数料と謄本の請求手数料です。
認証手数料とは、定款認証を受けるために公証役場で支払う手数料です。認証手数料は資本金額によって変動します。
- 【認証手数料】
-
- 100万円未満:15,000円または3万円
- 100万円以上300万円未満:4万円
- その他:5万円
また、紙で定款を提出するには謄本が必要であり、ページ1枚につき250円の手数料がかかります。
例えば、定款が10ページあった場合、250円×10ページ=2,500円が必要です。
電子定款の場合も紙と同じく認証手数料がかかります。ただし、CD-RやDVD-R、USBメモリなどの媒体に対して電磁的記録の保存手数料(1回300円)を支払う必要があります。
また、電子定款だと紙定款における謄本の役割を果たす「同一情報」が、1回700円で交付することが可能です。
手続きの方法・スピード
紙定款はWordなどで作成してから印刷し、公証役場へ持参または郵送して認証を受けることになります。
一方、電子定款は作成してからPDFファイルに変換し、電子署名をしてオンラインから提出することが可能です。
紙定款だと公証役場まで出向く、または郵送の準備に時間がかかってしまうものの、電子定款ならオンライン上で済ませられます。
ただし、電子定款はオンラインで提出した後に、公証役場へ定款データを取りに行かなくてはなりません。
完全にオンライン上ですべて済ませられるわけではないので注意してください。
保存・管理のしやすさ
紙定款を保存する場合、オフィスのキャビネットやデスクの引き出しなどに入れて管理することになります。
しかし、鍵を付けていない限り誰でも閲覧でき、勝手に持ち出される可能性もゼロではありません。また、地震や火事などで破損・紛失する恐れもあります。
電子定款の場合はすべてデータ上で保存することになるため、紛失するリスクを防げます。
間違って捨ててしまうことや、戻し間違いや返却漏れなどが発生しないのは、管理のしやすさにもなるでしょう。
また、データ化されていることで検索性が高まり、数秒で定款を見つけることも可能です。
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電子定款とは?

電子定款とは、紙ではなく電子データの形式で作成・提出する定款のことです。
パソコン上でWordなどを使って作成し、電子署名を付与した上で、インターネット経由で公証役場に送信します。
紙定款と同じ法的効力を持ちますが、印紙税が不要になるなど、コスト面で大きなメリットがあります。
電子定款のメリット
電子定款のメリットとして、紙定款を作成するよりもコストを抑えやすい点が挙げられます。
紙定款だと4万円の印紙税がかかりますが、電子定款では印紙税が課されません。その分費用を削減できます。
また、基本的にオンラインで手続きが完了するため、時間や移動の手間を省くことができ、効率的に会社設立の手続きを進められます。
ほかにも、電子ファイルとして保存できるため、紛失・劣化のリスクが減り、必要な時にすぐ確認することも可能です。
さらに、電子定款だと発起人が複数人いたとしても、全員分の印鑑証明書を準備する必要がありません。
このように、紙定款にかかる様々な手間を削減できるのは、電子定款の大きな強みといえます。
電子定款のデメリット
電子定款はコスト面と効率面で優れている一方で、事前準備やIT環境整備が課題となる点もあります。
例えば、電子定款を作成するには、電子証明書やICカードリーダー、専用のソフトなどが必要です。初めての場合はまずこれらの環境を整えておかなくてはなりません。
また、電子署名の付与やPDFファイルへの変換などは、ある程度ITスキルを持っていないと難しく感じてしまうケースが多いです。
自分で行うのが不安な場合は、専門家(行政書士や司法書士など)に依頼するケースもありますが、この場合は数万円程度の代行手数料が発生することになります。
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紙定款とは?

紙定款とは、従来の方法で紙に印刷した定款を公証役場へ持参し、認証を受ける形式の定款です。
パソコンで作成した文書を印刷し、発起人全員が署名または押印を行った上で提出します。
現在では電子定款が主流になりつつありますが、紙定款にも一定のメリットがあり、状況によっては選択肢となります。
紙定款のメリット
紙定款のメリットとして、電子署名や専用の機器が不要になる点が挙げられます。
電子証明書やICカードリーダーなどの準備が不要であり、パソコン操作が苦手な人も安心です。
また、公証役場で紙定款の内容を確認しながら修正することもでき、電子データよりやり取りがスムーズになるケースもあります。
特に初めて定款を作成する場合は、実際に公証役場で話を聞きながら修正できるのは心強いでしょう。
さらに、紙媒体として手元で保管できることから、重要な会社の書類を形として保管したいと考える人にとっては安心感があります。
紙定款のデメリット
紙定款のデメリットとしては、やはりコストと手続きにかかる時間と手間が挙げられます。特に印紙税が4万円かかるのは大きな負担です。
また、紙定款を作成するためには書類の印刷や押印をして公証役場に持参する必要があり、修正が必要となったら再度印刷をし直すなど、作業に手間がかかります。
公証役場でのやり取りも基本的に対面で行われることになるため、手続きは全体的に時間がかかってしまうのです。
さらに、紙定款だと原本が紛失・破損するリスクもあり、長期的な管理は難しいというデメリットもあります。
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電子と紙、どちらを選ぶべき?判断のポイントとは

電子定款と紙定款はそれぞれメリット・デメリットがあることを紹介しましたが、結局どちらを選べばいいか迷っている人もいるかもしれません。
基本的にパソコン操作があまり得意ではないという人には、紙定款がおすすめです。
ただし、現在主流となっているのは電子定款です。
法務省民事局が定款認証に関する実態調査において、公証人にアンケートを取ったところ、定款の種別は電子定款が19,620件(90.8%)、紙定款が1,979件(9.2%)と、90%以上が電子定款で作成していることがわかっています。
もし電子定款を作成するのが不安な場合は、行政書士や司法書士などの専門家に作成を代行してもらうのも一つの方法です。
費用はかかってしまうものの、紙定款を作成する際に必要なコストよりも安く抑えられる場合があります。
専門家に代行作成を依頼すれば、機材やソフトなどを準備する必要もなく、正しい形式で電子定款を作成してもらうことが可能です。
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電子定款・紙定款に関するよくある質問

電子定款と紙定款に関して、よくある質問をまとめてみました。気になることがある人はぜひチェックしてみてください。
電子定款を自分で作成するには何が必要?
電子定款を代行依頼せず、自分で作成する場合は以下のものを準備する必要があります。
-
- 電子証明書付きマイナンバーカード
- ICカードリーダーライタ
- 電子署名ソフト
- 電子署名プラグインソフト
- PDF作成・変換ソフト
無料で準備できるものもありますが、中にはコストが発生するものもあります。
電子定款だと印紙税がかからないメリットがありますが、これらの準備にある程度費用がかかってくるので注意が必要です。
電子定款で収入印紙が不要になる理由は?
電子定款で収入印紙が不要になる理由として、印紙税法で課税文書は「紙」を示しており、電子定款は紙媒体ではないと解釈されていることが挙げられます。
さらに、印紙税法の第2条では「別表第1の課税物件の欄に掲げる文書には、この法律により、印紙税を課する」とありますが、別表第1には書面の文書のみが記載されていて電子文書の記載がありません。
こうした理由から、電子定款は収入印紙が不要となっています。
電子定款と紙の定款、記載内容に違いはある?
電子定款と紙定款には様々な違いがありましたが、記載する内容はほとんど変わりません。
定款に記載する内容は、絶対的記載事項・相対的記載事項・任意的記載事項の3つに分類され、中でも絶対的記載事項(社名や本店所在地など)は必ず明記していないと、定款として無効になってしまいます。
ただし、定款の末尾の書き方は電子定款と紙定款で若干異なります。
紙定款の場合は発起人全員の記名・押印が必要ですが、電子定款は押印ではなく電子署名を掲載し、発起人の押印は不要です。
定款認証にかかる費用は経費にできる?
定款を作成する際にかかった費用や認証手続きで支払った費用、登録免許税、専門家への報酬など、定款認証にかかる費用は経費にすることが可能です。
勘定科目は「創立費」に該当し、繰延資産として計上してから当年度以降に一括または一定の期間にわたって費用化します。
数年にわたって会計処理を行えば、節税効果も期待できるため、関連する領収書などはすべて保管しておいてください。
個人事業主には定款は必要なの?
会社設立時には定款の作成・認証が必須となりますが、個人事業主の場合は基本的に作る必要がありません。
定款は起業するのに必要なものではなく、法人としての事業形態で経営していく場合に必要だからです。
個人事業主は定款も含め、起業に関する手続きが会社設立に比べて簡単に行えることから、まずは個人事業主として事業を開始し、軌道に乗ってから会社を設立するというケースが多くみられます。
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まとめ・費用と効率を考えるなら電子定款がおすすめ
電子定款と紙定款はいずれも会社設立に必要な正式な手続きですが、費用面・効率面で比較すると、電子定款のほうが有利なケースが多いといえます。
一方で、電子署名や専用ソフトなどの準備が必要なため、パソコン操作に不安がある場合は専門家へ依頼するのもひとつの方法です。
逆に、電子環境を整えるのが難しい場合や、手作業で確認したい人には紙定款が適しています。
会社設立は、最初の一歩からスムーズに進めることが重要です。費用を抑えつつ効率よく手続きを行いたい場合は、電子定款を積極的に検討してみてください。
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(編集:創業手帳編集部)






