年金受給者で確定申告が必要な人は?税金で損をしないためのお役立ちガイド
シニア起業を検討している方は税金の知識を身に着けよう

年金を受給しながら起業や副業を考えているシニア世代にとって、確定申告の知識は必須です。年金受給者の多くは「確定申告不要制度」の対象となりますが、事業収入や給与収入があると申告が必要になるケースも少なくありません。
本記事では、年金受給者の確定申告が必要な人・不要な人の違いから、シニア起業で押さえておきたい青色申告のメリット、確定申告で税金が還付されるケースなどをわかりやすく解説します。「自分は申告が必要なのか」「申告したほうが得なのか」を判断するための情報を網羅していますので、ぜひ最後までご覧ください。
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この記事の目次
年金受給者の確定申告「必要な人」「不要な人」を確認

年金を受給している方の多くは、「確定申告不要制度」によって申告手続きが免除されています。ただし、起業や副業で収入を得ている方、あるいは各種控除を受けたい方は確定申告が必要になるケースがあります。または、申告したほうが有利になるケースがあるため、ご自身の状況を整理することが大切です。
年金受給者の確定申告不要制度
確定申告不要制度の対象となるには、次の2つの条件を両方とも満たす必要があります。
| 条件 | 内容 |
| ① | 公的年金等の収入金額が年間400万円以下で、かつ、その全額が源泉徴収の対象となっている |
| ② | 公的年金等にかかる雑所得以外の所得が年間20万円以下である |
両方の条件を満たしていれば、所得税および復興特別所得税の確定申告は必要ありません。
ここでいう「公的年金等」は、老齢基礎年金や老齢厚生年金といった国民年金・厚生年金だけではありません。共済組合からの老齢年金、確定給付企業年金、iDeCo(個人型確定拠出年金)なども含まれる点を押さえておきましょう。
確定申告が必要になる人
確定申告が必要かどうかは、「年金額」「副収入の有無」「受けたい控除」の3つの視点から判断できます。
- 年金額の視点:年間の公的年金等の収入金額が400万円を超える場合は、確定申告が必要になる
- 副収入の視点:給与所得、事業所得、不動産所得など、公的年金等にかかる雑所得以外の所得が年間20万円を超える場合は確定申告が必要になる
- 控除の視点:医療費控除やふるさと納税(寄附金控除)、住宅ローン控除などの還付を受けたい場合は、確定申告不要制度の対象者であっても確定申告が必要になる
上記3つのいずれか1つでも該当すれば、確定申告が必要か、または申告したほうが有利になります。特にシニア起業を検討している方は、起業後の収入状況によって確定申告の要否が変わるため、事前にしっかりと確認しておきましょう。
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【ケース別】確定申告が必要な年金受給者

年金受給者が確定申告を必要とするかどうかは、年金以外の収入源によって大きく異なります。パート・アルバイト収入、投資や不動産からの収入、そして事業収入など、収入の種類ごとに判断基準を理解しておくことが重要です。
年金収入のみ
年金収入が年間400万円以下であれば、原則として確定申告は不要となります。一方、400万円を超える場合は確定申告が必要です。
たとえば、65歳以上で年金収入が200万円の方は確定申告不要制度の対象になります。しかし、年金収入が500万円ある方は、400万円を超えているため確定申告が必要です。
年金+パート・アルバイト収入
給与所得は「給与収入-給与所得控除」で算出され、この所得が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。
2025年分から、給与所得控除の最低保障額も55万円から65万円に引き上げられました。そのため、年金受給をしつつ、年間85万円までの給与収入であれば確定申告は不要となります(公的年金等の収入が400万円以下の場合)。
年金を受け取りながら働く高齢者の方は、毎年増えています。確定申告が必要となる方は、給与所得の計算方法を理解しておきましょう。
年金+投資・不動産収入
投資や不動産から収入を得ている年金受給者は、収入の種類ごとに確定申告の要否を判断する必要があります。
| 所得の種類 | 内容 | 確定申告が不要となるケース | 確定申告が必要となるケース・注意点 |
| 配当所得 | 株式の配当金を受け取った場合 | 「源泉徴収ありの特定口座」を利用しており、配当控除を利用しない場合は、確定申告不要を選択可能 | 配当控除(配当所得に対する税額控除)を受けたい場合は、確定申告が必要 |
| 株式等の譲渡所得 | 株式売買で利益が出た場合 | 「源泉徴収ありの特定口座」を利用している場合は、確定申告不要を選択可能 | 損益通算(他の株式売買の損失との相殺)や繰越控除(損失の翌年以降への繰越)を利用したい場合は、確定申告が必要 |
| 不動産所得 | 賃貸物件からの家賃収入がある場合 | 原則として、確定申告不要となるケースはない | 原則として確定申告が必要。不動産所得は「収入-必要経費(修繕費・減価償却費など)」で計算 |
投資・不動産による所得が年間20万円を超えると、確定申告不要制度の適用外となります。複数の投資や不動産収入がある方は、すべてを合算して20万円を超えるかどうかを確認しましょう。
年金+事業収入
事業所得は「売上(収入)-必要経費」で計算します。この所得が年間20万円を超える場合は、年金収入が400万円以下であっても確定申告が必要です。
たとえば、コンサルティング業で年間150万円の売上があり、経費が120万円かかった場合、事業所得は30万円です。この場合、確定申告が必要になります。
一方で、売上100万円に対して経費が85万円であれば、事業所得は15万円です。この場合、確定申告は不要です。
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【シニア起業】年金+事業収入がある人の確定申告

年金を受給しながら事業を営む場合、事業所得の計算方法や青色申告・白色申告の違いを理解しておくと、税負担を大きく軽減できる可能性があります。特に開業初年度から適用できる「青色申告」は、最大65万円の特別控除が受けられるなど、節税メリットが大きい制度です。
事業所得の計算方法と経費
事業所得は「売上(収入)-必要経費」の計算式で算出します。売上からどれだけ経費を差し引けるかによって、課税対象となる所得金額が決まるため、必要経費の正確な把握が節税をするうえで欠かせません。
| 経費の種類 | 具体例 |
| 通信費 | インターネット回線料金、電話代(事業使用分) |
| 交通費 | 打ち合わせ・営業活動にともなう移動費 |
| 消耗品費 | 文房具、事務用品、10万円未満の備品など |
| 水道光熱費 | 自宅兼事務所の場合は按分して計上 |
| 広告宣伝費 | 名刺、チラシ、Web広告、ホームページ制作費 |
| 外注費 | 業務委託費、デザイン・制作費用 |
| 減価償却費 | パソコン、設備など10万円以上の資産 |
自宅で事業を行う場合は「家事按分」という考え方が重要になります。家事按分とは、自宅の家賃や光熱費のうち、事業で使用している割合に応じて経費計上する方法です。
たとえば、自宅の30%を事務所として使用している場合、家賃の30%を経費として計上できます。
青色申告と白色申告の選び方
確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。事業所得がある程度見込める方には、節税効果が見込める青色申告がおすすめです。なお、青色申告の主なメリットは以下のとおりです。
- 最大65万円の青色申告特別控除(電子申告または電子帳簿保存が条件)
- 赤字を翌年以降3年間繰り越せる(純損失の繰越控除)
- 家族への給与を経費にできる(青色事業専従者給与)
- 30万円未満の資産を一括で経費計上できる(少額減価償却資産の特例)
ただし、青色申告には事前の届出が必要です。新たに事業を始めた場合は、開業の日から2か月以内に、税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。この期限を過ぎると、その年は白色申告しか選択できないため注意してください。
さらに、65万円の控除を受けるためには「複式簿記」による帳簿付けと、e-Tax(電子申告)での申告、または電子帳簿保存が必要です。弥生会計をはじめとした会計ソフトを活用すれば、複式簿記の知識がなくても対応できます。
赤字でも確定申告すべき理由
事業が赤字であっても、確定申告を行うメリットは複数あります。特に青色申告者は、「繰越控除」をはじめとした将来の節税につながる特典を活用できます。
青色申告を選択している場合、事業で生じた赤字(純損失)を翌年以降3年間にわたって繰り越せます。将来、事業が黒字に転じた際に過去の赤字と相殺できるため、将来の節税効果が期待できるのです。
事業拡大を検討する際、金融機関からの融資や各種補助金の申請には確定申告書の提出が求められます。赤字であっても確定申告書を作成しておけば、事業実績の証明として活用できるため、将来のビジネス展開に備えられるでしょう。
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【事業所得20万円以下でも】確定申告で得する年金受給者のケース

確定申告不要制度の対象であっても、あえて申告することで税金が還付されるケースがあります。特に年金受給者は、年金から源泉徴収されている所得税が本来の税額より多い場合、確定申告によって払いすぎた税金を取り戻せる可能性があります。
医療費控除・セルフメディケーション税制を受ける
年間の医療費が一定額を超えた場合、「医療費控除」または「セルフメディケーション税制」のいずれかを選択して控除を受けられます。セルフメディケーション税制は医療費控除の特例であり、通常の医療費控除との選択制です。
社会保険料・生命保険料・地震保険料控除を受ける
年金から天引きされていない社会保険料や、生命保険料・地震保険料を支払っている場合は、確定申告で追加の控除を受けられます。
| 控除の種類 | 控除対象となる支払い内容 | 控除額・上限 | 主な注意点 |
| 社会保険料控除 | 国民健康保険料 介護保険料 国民年金保険料 |
支払った全額 | 生計を一にする配偶者・親族の国民年金保険料を代わりに支払った場合も、支払者の控除対象として申告可能 |
| 生命保険料控除 | 生命保険料 介護医療保険料 個人年金保険料 |
新契約:各区分最大4万円 旧契約:各区分最大5万円 合計最大12万円 |
契約時期(新契約・旧契約)により控除額が異なる。区分ごとに上限があるため合算方法に注意(介護医療保険料は新契約のみ) |
| 地震保険料控除 | 地震保険の保険料 | 最大5万円 | 火災保険のみは対象外。地震保険特約付き火災保険は控除対象 |
これらの控除証明書は、毎年10月〜11月頃に保険会社や市区町村から届きます。確定申告の際に必要になるため、届いたら大切に保管しておきましょう。
ふるさと納税・住宅ローン控除を受ける
ふるさと納税を行った場合、自己負担額2,000円を除いた金額が所得税および住民税から控除されます。
「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を利用している場合は、確定申告が不要です。ただし、他の理由で確定申告を行う場合は、ワンストップ特例の申請分も含めてすべての寄附金を申告する必要があります。
住宅ローンの残債がある場合、一定の要件を満たせば住宅ローン控除を受けられます。初年度は確定申告が必要で、2年目以降は年末調整で対応できますが、年金受給者の場合は毎年の確定申告が必要です。
過去5年内の還付申告をする
還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出できます。つまり、過去に申告していなかった控除がある場合でも、5年以内であれば遡って還付申告が可能です。
たとえば、2020年分(令和2年分)の還付申告は2025年12月31日まで提出できます。「医療費控除を受けられたのに申告していなかった」「生命保険料控除を忘れていた」という方は、今からでも還付申告を検討してみてください。
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確定申告のやり方と必要書類

確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間の所得を計算し、翌年の申告期間内に税務署へ申告・納税する手続きです。提出方法や必要書類を確認し、余裕をもって準備を進めましょう。
必要書類の一覧とチェックリスト
確定申告に必要な書類は、収入の種類や受けたい控除によって異なります。以下のチェックリストを参考に、漏れなく準備してください。
| 区分 | 書類名/控除の種類 | 内容・入手方法/備考 |
|---|---|---|
| 全員共通 | マイナンバーカード | または「通知カード+本人確認書類(運転免許証など)」 |
| 還付金の振込先口座情報 | 本人名義の金融機関口座 | |
| 年金受給者 | 公的年金等の源泉徴収票 | 毎年1月頃に日本年金機構などから送付 |
| 個人年金の支払調書 | 民間保険会社から送付(該当者のみ) | |
| 起業・事業収入がある人 | 青色申告決算書 | 青色申告を行う場合に必要 |
| 収支内訳書 | 白色申告を行う場合に必要 | |
| 売上・経費の帳簿 | 日々の取引内容を記録した帳簿 | |
| 領収書・レシート | 経費の証拠書類として保管必須 | |
| 各種控除(該当者のみ) | 医療費控除 | 医療費の領収書、医療費控除の明細書 |
| 生命保険料控除 | 控除証明書(保険会社から送付) | |
| 社会保険料控除 | 社会保険料控除証明書 | |
| ふるさと納税(寄附金控除) | 寄附金受領証明書 | |
| 住宅ローン控除 | 借入金年末残高証明書、登記事項証明書など |
申告書の書き方と提出方法
確定申告書の作成方法は主に3つあります。
| 提出方法 | 特徴 |
| e-Tax(電子申告) | マイナンバーカードでオンライン提出。24時間対応で便利 |
| 郵送 | 管轄の税務署に郵送。消印の日付が提出日となる |
| 窓口持参 | 税務署に直接持っていく。相談しながら提出できる |
2025年(令和7年)分の確定申告提出期間は、2026年(令和8年)2月16日(月)から3月16日(月)までです。
e-Taxを利用する場合は、マイナンバーカードの事前準備が必要です。「マイナポータル連携」を活用すると、源泉徴収票や控除証明書のデータを自動取得して申告書に自動入力できるため、入力の手間を軽減できます。
住民税申告との違いと注意点
確定申告を行うと、税務署から市区町村にデータが自動送信されるため、別途住民税の申告をする必要はありません。ただし、以下の場合は所得税の確定申告とは別に、住民税の申告が必要です。
- 所得税の確定申告が不要(20万円ルール適用)だが、住民税は課税される場合
- 所得税の確定申告をしない選択をした場合
所得税では、公的年金等以外の所得が20万円以下であれば確定申告不要ですが、住民税にはこのルールが適用されません。
「確定申告不要=何もしなくてよい」ではないことを覚えておきましょう。確定申告不要制度を利用して所得税の申告をしない場合でも、住民税の申告は市区町村の窓口で行う必要があります。申告期限は所得税と同じく3月15日(土日の場合は翌平日)です。
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まとめ
年金受給者の確定申告は、「確定申告不要制度」によって多くの方が申告義務を免除されています。公的年金等の収入が年間400万円以下で、かつ年金以外の所得が20万円以下であれば、原則として確定申告は不要です。
ただし、シニア起業や副業で収入を得ている方は、この制度の適用外となるケースが少なくありません。事業所得や給与所得、不動産所得などが年間20万円を超える場合は確定申告が必要になります。
(編集:創業手帳編集部)







