創業1年目の起業家が1月にやるべきこと10選|確定申告・経営計画・補助金チェックまで
1月は1年を左右する大切な時期だからこそやるべきことを明確に

1月は、『起業1年目を整える月』です。前年の実績や、やり残したことを振り返って、新しい年の計画立案には重要な役割があります。
確定申告や補助金、経営計画と進めなければならない仕事は多く、どのように準備しているかによって新しい1年の成果が大きく変わります。
この記事では、創業1年目の起業家・小規模事業者が1月に必ずやっておきたい10の実務ポイントを、分野別にわかりやすく解説しました。
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この記事の目次
創業1年目の起業家が1月にやるべきこと10選

創業1年目は、事業をはじめたばかりで慣れないこと、進めなければいけない仕事で忙しいでしょう。
しかし、創業1年目の1月だからこそやっておくべきタスクは多くあります。ここで10つ厳選して紹介します。
1. 前年の振返りと課題の明確化
創業1年目の1月には、必ず前年を振り返って課題を明らかにしてください。まず、売上と経費、利益を月次で集計して前年の経営状況を数値化して分析します。
課題を明確にするためには、営業・広告・SNS運用など各施策の成果も定量的に評価してください。経費の費用対効果を分析して改善点を抽出するために役立ちます。
前年を振返りつつ帳簿と請求書、領収書の整理をして会計処理の漏れや重複記載のチェックしておくと、これからの申告準備がスムーズになります。
創業初年度は分析や観察を繰り返して「数字を残す」こと自体が次の成長の基礎です。
2. 数値を用いた目標の立案
前年の結果を踏まえて、年間の売上・利益目標を具体的な金額で設定してください。
年間の売上から、月ごとの行動目標と紐づけて管理すると、より成果に直結する目標になります。
目標は数値で明確化することが大切です。新規顧客獲得・リピート率向上など、指標を明確にしてKPI(重要業績評価指標)として可視化します。
従業員や取引先と目標を共有し、チーム全体で達成への共通認識を持つことで実行力が高まります。
3. 経営計画書・事業計画書のアップデート
前年度の実績を反映させて、既存の収益計画や市場分析を最新化するようにしてください。
新しい情報にアップデートしておくと、金融機関や補助金審査で提出した時の信頼性が高まります。
また、経営計画書や事業計画書は、定期的に事業の方向性・理念・強みを整理し、社内外への説明資料として活用できるように構成を見直さなければいけません。
経営環境のスピーディーな変化に対応するには、柔軟な計画修正とリスクシナリオを用意しておくことが望ましいです。
経営計画や事業計画書のアップデートと聞くと大がかりに感じるかもしれません。
創業手帳などの計画書テンプレートを活用すれば、効率的に作成でき、次年度の資金調達にも活かせます。
4. 確定申告に向けた準備
確定申告は、期限が近づいてから準備するのではなく、余裕をもって書類をそろえておくようにおすすめします。
領収書や帳簿をまとめたら、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」または会計ソフトを使って、帳簿の整合性を確認しながら早期に入力を進めておいてください。
青色申告を行う場合は、白色申告とは添付書類が違います。貸借対照表や損益計算書の作成といった控除を受けられる条件を満たすようにしてください。
確定申告が終わった後も領収書・請求書など証憑類は7年間の保管義務があります。これからの税務調査に備えて証憑類も整理しておくことようにしてください。
2月に入ると税理士も繁忙期になります。不明点を解決して確定申告を迎えるために早めに準備しておくと安心です。
5. 必要な税務手続きの履行
確定申告だけなく、事業をしていると様々な提出しなければならない書類があります。
法定調書合計表は、正式には、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」という書類です。
法定調書合計表を税務署へ提出し、報酬・給与支払い内容を正確に報告することが義務付けられています。
給与支払者は源泉徴収票を従業員に交付し、併せて源泉所得税を毎月10日までに納付する必要があります。
年末調整を終えた後は、従業員に「給与所得の源泉徴収票」を交付しなければいけません。
交付は翌年1月31日までに行うので、実務では12〜1月に準備します。加えて一定の条件を満たす従業員の源泉徴収票は所轄の税務署に提出します。
固定資産を保有している場合には、償却資産申告書を市区町村へ1月31日までに提出しなければいけません。この提出期限を過ぎると加算税の対象になることもあるのです。
6. 資金繰りと経費の見直し
手元にどれだけの現金があるのか把握しているつもりでいても、実態を正確には理解していないケースがあります。
黒字倒産があることからもわかるように、決算書で利益が出ていても資金繰りが悪くなれば事業の継続が難しくなります。
1年間の初めに資金繰りと経費の見直しに着手してください。
キャッシュフロー表を月単位で作成して、売掛・買掛のバランスを把握しておくと資金ショートのリスクを防げます。
3カ月先を見据えた資金繰り計画を立てて、必要に応じて公的融資制度の活用も検討します。
経費では、オフィス賃料・クラウドサービスなどの固定費を見直し、不要な契約を解約することで利益率を改善可能です。
1月は比較的相談窓口が空いている時期です。春の事業拡大に備えて資金を確保してください。
7. 補助金・助成金の情報をチェック
新しい年のキャッシュフローを見た時に、資金不足や投資の必要性を認識するケースも多くあります。
資金不足に悩んだ時には、補助金や助成金の情報を調べてみてください。
補助金や助成金は、目的に応じて多くの種類があります。中小企業庁のミラサポplusやJ-Net21では最新の補助金情報を確認可能です。
申請から交付までのスケジュールが厳密に定められているので、必要書類を早めに準備します。
IT導入補助金・小規模事業者持続化補助金などは、事業計画書と見積書の整合性が審査の鍵になるので、自社に合った制度を選択するようにしてください。
雇用拡大を検討している場合には、、厚生労働省のキャリアアップ助成金の要件確認を行って申請準備を進めます。
補助金についての最新情報は「創業手帳 補助金ガイド」や中小企業庁サイトも参考にしてください。
8. 契約・登記・保険関係の見直し
1月は年度の節目です。事業で行った契約や登記、保険もこのタイミングで見直してください。
具体的には、リース契約や加入している保険に無駄がないかどうかチェックします。
さらに、個人事業主は国民年金・国民健康保険の納付状況を確認します。未納がある場合は早期納付で延滞金を防ぐことが大切です。
法人化した人は、社会保険料の負担額をあらためて把握しておくと安心です。
従業員に関わる手続きも間違いがないか見直しておきたい部分になります。
社会保険・雇用保険の加入漏れがないか、日本年金機構・ハローワークで登録内容を再確認しておくようにしてください。
法人の場合には、定款・登記事項の変更がないかを確認し、変更が必要な場合は法務局で速やかに手続きを行います。
9. 顧客・取引先・関係者への新年挨拶
1月は、新年の挨拶の季節です。新年挨拶メールでは前年の感謝と今後の展望を簡潔に伝え、信頼関係を強化するようにしてください。
可能であれば、主要取引先には迷惑にならないタイミングで電話や訪問で直接挨拶すると、今後の商談や契約更新に良い影響を与えられることがあります。
また、SNSや公式サイトでの年始メッセージを発信も企業の認知度を高めるために効果的な施策です。
新年は、訪れを祝うだけにとどまらず、企業の姿勢や方針を顧客に伝えるチャンスであると捉えてください。
新年挨拶をどのように執り行うのか、どういったメッセージを届けるのかといった立案は前年度に計画的に済ませておかなければいけません。
新年をスムーズにはじめられるように自社らしさがあってポジティブな印象を与えられる挨拶を検討してください。
10. 自分自身のアップデート
事業の新年準備は、手を付けなければならないことがたくさんあります。しかし、創業1年目の1月は、事業を手掛けている自分自身にとっても特別な節目です。
自分自身をアップデートするための施策も考えてください。
前年度の経験から、自分の強みやこれから高めたい部分を分析してみると良いでしょう。
経営スキルを高めるのであれば、経済産業省・中小企業庁が主催する創業セミナーやe-ラーニングを活用できます。
さらに、自分自身のアップデートには、フィジカル面でのアップデートも含まれます。基本的なこととして、睡眠・食事・運動のバランスを整えてください。
経営者としての判断力や集中力を維持するためには、生活習慣を整える必要があります。
1月に気持ちを新たにするには、起業時の目的や価値観を再確認し、今後の意思決定や事業方針に一貫性を持つようにします。
経営はマラソンです。1月に心身を整えることが1年の成果を左右します。
創業1年目の1月にやるべきことをやらなかったらどうなる?後回しにするリスクとは

創業1年目は、事業が楽しくて1月にやるべきことを忘れてしまうケースもあるかもしれません。しかし、後回しにしてしまうと後からトラブルが発生するリスクもあります。
把握しておくべきリスクについてまとめました。
確定申告の準備が間に合わず、提出期限ギリギリになるリスク
1月にやっておかなくて後悔する可能性が高いのが確定申告の準備です。
確定申告自体の期限は、法人であれば、事業年度終了日(決算日)の翌日から2カ月以内、個人であれば原則として毎年2月16日から3月15日です。
期限に余裕があったとしても領収書や帳簿が未整理のままだと、ギリギリに作業が集中してしまって作業おろそかになったり、期限に間に合わなくなったりするリスクがあります。
確定申告が間に合わない、必要な書類が提出できていないような状態では、青色申告控除(最大65万円)が受けられなくなるリスクもあります。
間に合わないからと税理士に駆け込み依頼するケースもありますが、税理士も繁忙期には追加費用が発生します。その結果、想定外の出費につながるかもしれません。
つまり、確定申告の準備をしなかったことで、本来支払わなくてもよかった余計な費用を払うケースがあるのです。
資金繰りの悪化に気づくのが遅れ、キャッシュが枯渇するリスク
1月に売上・経費の棚卸してキャッシュフローを整理するタイミングです。資金繰りを把握しておかないと、支払い予測が狂って資金ショートが起きやすくなってしまいます。
従業員への給与や取引先への支払い、家賃などが滞れば事業自体が続けられなくなります。
その時に何とかしのげたとしても、取引先や金融機関からの信用を失えば融資や取引きの条件が悪くなるかもしれません。
資金繰りを整理しないと、借入れや補助金の申請も遅れて必要な資金を確保するチャンスを逃してしまいます。
キャッシュフローが乱れると、事業計画を安定して回せない上に、経営判断や意思決定も遅くなってしまいます。
補助金・助成金の応募タイミングを逃してしまうリスク
補助金や助成金は、応募の期限までに必要な書類や申請をしなければいけません。
1月に補助金や助成金の計画を立てておかないと、応募のタイミングを逃してしまうケースがあります。
採択率の高い「小規模事業者持続化補助金」などの公募開始に気づけなければ応募機会を逃してしまうのは資金獲得チャンスの逸失です。
補助金や助成金は、予算枠が先着や年度内で埋まるものもあり、情報収集が遅いだけで損をしてしまいます。
また、計画書の準備期間が不足し、内容が浅いまま提出して不採択になってしまう事例もあります。早い段階で準備をはじめたほうが精査した内容で提出可能です。
前年のデータを分析しないまま突っ走り、非効率な運営が続くリスク
前年度のデータを分析しないままに事業を継続するのはリスクがあります。
例えば、利益率が低いサービスをそのまま続けてしまい、稼げない構造から抜け出せない事業は創業してすぐに多いパターンです。
客単価・リピート率の改善ポイントを見逃せば、事業の成長スピードが鈍化してしまいます。
分析や改善を怠ったまま新施策に手を出せば、労力だけ増えて成果につながらないかもしれません。
節目の段階でより効率的にするにはどうすればいいのか、何が課題になるのかを考えてみてください。
まとめ|1月は「整える」「仕込む」月
1月は経営・会計・人脈の三要素を整理し、次年度の成長に向けた基盤をつくる最適なタイミングです。
確定申告や税務手続き・補助金準備を早期に進めることで、年度後半の余裕と信頼を確保できます。事業に集中するためにも1月で計画的に年間計画を立案してください。
小さな実務を先送りせず、ひとつずつ着実に実行することが、持続的な経営の第一歩といえます。
(編集:創業手帳編集部)








