注目のスタートアップ

ヘリカル型核融合炉を開発する「Helical Fusion」が8.7億円調達

company

2025年12月5日、株式会社Helical Fusionは、総額約8億7000万円の資金調達を発表しました。

今回の資金調達により、累計調達額は約60億円となりました。

Helical Fusionは、ヘリカル型核融合炉によるフュージョンエネルギーの実用化を目指す計画「ヘリックス計画(Helix Program)」を推進しています。

2020年代中を目処に二大開発要素「高温超伝導マグネット」「ブランケット兼ダイバータ」の個別実証を完了し、2030年代中に、最終実証装置「Helix HARUKA」による統合実証と発電初号機「Helix KANATA」による世界初の実用発電を達成する計画です。

今回調達した資金は、開発やチームのさらなる拡充に活用します。


原子力発電は二酸化炭素を排出せずに膨大な電力を供給できることから「クリーンな発電方式」と位置づけられています。しかし、メルトダウンのリスクや、万年単位で管理を要する高レベル放射性廃棄物の存在が大きな課題です。これらの制約を克服する新たな選択肢として注目されるのが核融合炉です。

核融合は太陽内部で起こる反応を地上で再現する技術であり、燃料として重水素や三重水素などを用います。核分裂と異なりメルトダウンの危険性がなく、高レベル放射性廃棄物がほとんど発生しない点が大きな利点です。ただし、反応を維持するには1億度を超える超高温・高密度プラズマを安定的に閉じ込める必要があり、極めて高度な技術が求められます。そのため実用化には長い時間がかかると考えられてきました。

しかし近年は大学や研究機関の成果を基盤にスタートアップが台頭し、開発競争が加速しています。Helical Fusionは核融合科学研究所(NIFS)の研究成果を活用し、独自のヘリカル型核融合炉を開発しています。この方式は電磁石コイルのみでプラズマの閉じ込めに必要な磁力線を安定的に生成でき、出力エネルギーが安定しており発電に適しているというメリットがあります。

革新的な技術を実現するには資金調達を成功させることが重要です。シリーズ累計発行部数250万部を突破した起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、VCから出資を受けるためのノウハウなど、資金調達に関する情報を提供しています。

カテゴリ 有望企業
関連タグ Helical Fusion エネルギー 核融合 研究開発
創業手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事
起業の仕方サムネイル
起業の6ステップ。素人でも失敗しない起業の仕方を大解剖。起業の専門家が体験とデータで解説。
NPO法人設立サムネイル
【2025年最新】NPO法人の設立ガイド|費用・条件・手順を徹底解説
【起業準備】会社設立前に絶対にやるべき10のアクションリスト
法人の印鑑証明書の取り方 | 手数料は?どこで?郵送は可能?
小規模企業共済サムネイル
小規模企業共済とは?危ない?潰れる?加入手続きから解約方法、メリット・デメリットまで徹底解説!
酒類販売業免許とは?お酒の販売には免許が必要!飲食店開業のための酒販免許取得を専門家が解説

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

難治性がんなどを対象としたナノテクノロジーを駆使した免疫療法を研究開発する「ユナイテッド・イミュニティ」が11億円相当の資金調達を実施
2023年9月11日、ユナイテッド・イミュニティ株式会社は、第三者割当増資と助成金による合計11億円相当の資金調達を実施したことを発表しました。 ユナイテッド・イミュニティは、マクロファージと樹状細胞…
光量子コンピューターを開発する「OptQC」が15億円調達
2025年10月22日、OptQC株式会社は、総額15億円の資金調達を発表しました。 今回の資金調達により、累計調達額は21.5億円となりました。 OptQCは、東京大学大学院工学系研究科・古澤研究室…
太陽光発電によるVPP事業などを手がける「アイ・グリッド・ソリューションズ」と「鈴与商事」が資本業務提携
2023年8月22日、株式会社アイ・グリッド・ソリューションズは、鈴与商事株式会社と、資本業務提携契約を締結したことを発表しました。 アイ・グリッドは、子会社である株式会社VPP Japanを通じ、流…
同種由来iPS細胞由来心筋細胞シートの実用化を目指す「クオリプス」が20億円調達
2020年12月4日、クオリプス株式会社は、総額約20億円の資金調達を実施したことを発表しました。 大阪大学の技術・研究成果をベースに、同種由来iPS細胞由来心筋細胞シートの開発・事業化を目的に設立さ…
「2023年度「新エネルギー等のシーズ発掘・事業化に向けた技術研究開発事業」第2回公募の新規採択等に関する支援業務」 実施者を公募
2023年7月28日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、「2023年度「新エネルギー等のシーズ発掘・事業化に向けた技術研究開発事業」第2回公募の新規採択等に関する支援業…

大久保の視点

明治大学ビジコンで優勝&100万円獲得はゼファーさん明治大学2年「NEUROGICA」メンタルIoT
2025年3月14日(金)に明治大学・御茶ノ水キャンパスで第3回明治ビジネスチャレンジ(明治ビジチャレ)が明治大学経営学部主催で行われました。 明治大学の各…
(2025/3/14)
日本サブスク大賞2024グランプリはAI英会話スピークバディが受賞!
日本国内で唯一のサブスクリプション特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」が、2024年12月4日(水)にベルサール六本木で開催されまし…
(2024/12/4)
国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
創業手帳 ファウンダー 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集