「最低賃金および中小企業の賃金・雇用に関する調査」

tips

日本商工会議所と東京商工会議所は、「最低賃金および中小企業の賃金・雇用に関する調査」を実施し、その集計結果を発表しました。

この調査は、物価、エネルギー価格などが高騰するなか、賃上げの状況、最低賃金の影響や改定への考えなどについて、中小企業の実態を把握し、今後の要望活動に活かしていくために実施したものです。

調査結果のポイント

【人手不足の状況および対応】
・「人手不足」と回答した企業は64.3%(昨年比3.6ポイント増)
・業種別では「建設業」(78.2%)がもっとも高く、「情報通信・情報サービス業」「運輸業」「介護・看護業」「宿泊・飲食業」で7割超
・働く人にとって魅力ある企業・職場となるために実施・検討している取り組みは、「賃上げの実施、募集賃金の引上げ」(66.3%)が最多

【2023年度の賃上げ】
・「賃上げを実施予定」と回答した企業は6割近く(58.2%、昨年+12.4ポイント)
・業績改善を伴わない「防衛的な賃上げ」は6割強(62.2%、昨年▲7.2ポイント)
・賃上げ率については、近年の中小企業賃上げ率(2%弱)を上回る「2%以上」とする企業は58.6%、足下の消費者物価上昇率を概ねカバーする「4%以上」とする企業は18.7%。

【最低賃金引上げ】
・2022年10月の最低賃金引上げ(全国加重平均31円)を受け、「最低賃金を下回り、賃金を引上げた」企業(直接的な影響を受けた企業)は38.8%
・2023年度の最低賃金額の改定について、最低賃金を「引上げるべき」と回答した企業は42.4%となり、「引下げるべき」「現状の金額を維持すべき」との回答(計33.7%)を上回る。

【人材育成・研修】
・人材育成・研修を今後「強化・拡充する」企業は約半数(50.2%)
・「外部研修へ従業員を派遣する費用の支援」(48.9%)や「社内研修の実施に係る講師費用等の支援」(45.1%)など、費用面での支援を求める声が多い

調査概要

(1)調査地域:全国47都道府県
(2)調査対象:中小企業・6,013社
(3)調査期間:2023年2月1日~28日
(4)調査方法:各地商工会議所職員による調査(訪問、メールなど)
(5)回収商工会議所数:404商工会議所
(6)回答企業数:3,308社(回答率:55.0%)


物価の高騰や人手不足の深刻化により、企業では賃上げが必要となってきています。

とくにコロナ禍によって大きな打撃を受けた業界はより深刻な人手不足に直面しており、人材を確保するための賃上げが必要です。

今回の調査で人手不足にあると回答した割合が多い業界は、建設業、IT業、運輸業、介護・看護業、宿泊・飲食業であり、世間的に人手不足が深刻があると認識されている業界と一致しています。

またこうした業界では賃上げが人材確保のために重要な取り組みであると認識されているほか、人材育成・研修についても積極的な企業が見られます。

一方で、中小企業は原材料価格高騰・エネルギー価格高騰などの影響を受けており、資金的な余裕がない企業も存在しています。そのためこうした企業を重点的に支援できるような仕組みも求められています。

賃上げを行う企業は賃上げ税制などを活用することも重要です。創業手帳は無料で専門家の紹介を行っているため、税理士を必要とする企業はこちらを活用できます。また、起業家や専門家の生の声をもとに記事化した起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」も無料で発行しております。ぜひご活用ください。

カテゴリ トレンド
関連タグ アンケート 中小企業 最低賃金 調査 賃上げ 賃金 雇用
詳細はこちら

「最低賃金および中小企業の賃金・雇用に関する調査」の集計結果について

創業手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事
有限会社とは?なぜもう設立できないのか?
酒類販売業免許とは?お酒の販売には免許が必要!飲食店開業のための酒販免許取得を専門家が解説
あなたの会社に合った補助金・助成金がすぐわかる!自動マッチングツールを導入しよう
【2025年版】会社設立のやること・流れ・費用をチェックリストで完全解説
法人の印鑑証明書の取り方 | 手数料は?どこで?郵送は可能?
【記入例つき】事業計画書の書き方を初心者向けに解説|起業・融資対応テンプレートあり

トレンドの創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

都内中小企業とベトナム・インドネシア・タイ・インド在住の外国人材のマッチングイベント「Tokyo Job Fair」出展企業募集
東京都は、合同企業説明会「Tokyo Job Fair」の開催を発表しました。 「Tokyo Job Fair」は、東京都主催「海外高度人材獲得支援事業」の一環として開催される、都内中小企業とベトナム…
「中小企業省力化投資補助事業(カタログ型省力化補助金)」説明会が全国47都道府県で開催
2024年9月12日、中小企業庁は、「中小企業省力化投資補助事業(カタログ型省力化補助金)」の説明会を全国47都道府県で開催することを発表しました。 「中小企業省力化投資補助事業(カタログ型省力化補助…
【東京都】「新製品・新技術開発助成事業」【最大2500万円支援】
「新製品・新技術開発助成事業」のご案内です。 公益財団法人東京都中小企業振興公社が実施する助成事業です。 対象となる研究開発 製品・サービスを生み出すために、試作品の設計、製作、試験評価を行うことを「…
特許庁「知財活動事例集」を公開 中小企業14社の取り組みを紹介
2024年7月23日、特許庁は、「知財活動事例集」を公開しました。 知的財産活動(知財活動)に取り組む中小企業を紹介する電子冊子です。 業種や活動内容の多様性に富む中小企業14社に取材を行い、各企業の…
【東京都】令和6年度「中小企業デジタルツール導入促進支援事業」
公益財団法人東京都中小企業振興公社は、令和6年度「中小企業デジタルツール導入促進支援事業」の公募について発表しました。 都内中⼩企業等に対し、デジタルツールの新たな導⼊に係る経費の⼀部を助成することに…

大久保の視点

明治大学ビジコンで優勝&100万円獲得はゼファーさん明治大学2年「NEUROGICA」メンタルIoT
2025年3月14日(金)に明治大学・御茶ノ水キャンパスで第3回明治ビジネスチャレンジ(明治ビジチャレ)が明治大学経営学部主催で行われました。 明治大学の各…
(2025/3/14)
日本サブスク大賞2024グランプリはAI英会話スピークバディが受賞!
日本国内で唯一のサブスクリプション特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」が、2024年12月4日(水)にベルサール六本木で開催されまし…
(2024/12/4)
国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
創業手帳 ファウンダー 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集